それは突然のことだった
「わたし、いままで嘘をついてきたわ」
この姿は私の本当の姿ではないの、
続く言葉が聞き取れない。
耳鳴りがする。頭が、
射抜かれたようにキンとなる。
ついにこの日が来た。
やがていつかこの日が来る事ははじめから判っていた。
だから僕は、この日のために僕は
用意していたんだよ、この日のために…
僕は息を止め、
振り向きざま彼女に液体を浴びせ掛けた。
「ああ!」彼女は大きく目を見開き、
ゆうるりと瞼を伏せる。
彼女の体は見る間に黒く染まってゆく…
僕は、
夢でも見るかのように、
彼女の様を見ていた。
「これでいい。これで全てが終ったんだ…」
床に転がった液体には
マジックリン(20倍に薄めて使用)
と書いてあった…
あれから何ヶ月経っただろう、
偶然、街で彼女を見かけた。
つきあっていた頃の面影はなく、
純白と光に彩られ、
華やかなステージで、無数の男達に…
コインを投入される君の姿が……
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